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〈第5回〉グリーフワーク

〈第5回〉グリーフワーク

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グリーフとは喪失により私たちの心身に起きる様々な反応と申しました。このグリーフと付き合いやすくするための方法として、グリーフワークというものがあります。今回はグリーフワークについていくつか紹介します。

たとえば、人に話すこと。喪失体験による辛い思いや、今の気持ちや状態などを、自分の中に閉じ込めないで他者に向かって伝えることです。親しい友だちに聞いて欲しい人もいれば、むしろ自分のことを全然知らない他者に聞いて欲しい人もいます。どちらでもなく、ちょうどよい距離の人に話す人もいます。

気持ちを文字にしてみること。亡くなった人に手紙を書くという人や、一行日記などで自分の気持ちを書き記してみる人もいます。自分の思いを文字にすることで、もやもやしていたものを言葉で認識してはっきりさせることにも繋がります。また、文字にすることは、誰かに話すこととは違って、他者に見せなくても言葉にすることができます。話したくないという時にも使える方法です。

喪失した対象と思い出の場所に行ってみる。かわいがっていたペットを亡くした時に、そのペットが好きだった遊び場に行く人もいます。また、大事な人を亡くした時に、旅行で訪れて、楽しかった記憶がある場所に訪れる人もいます。思い入れのある場所に行くことは、あらためて繋がりを感じることができると私は思います。

その人の好物を食べたり、好きだったことをするのも、よいグリーフワークになる可能性があります。これらのグリーフワークは必ずしなければならないことではありません。あくまでも、グリーフと付き合いやすくするための一助です。他にも多くのグリーフワークはありますし、必要な時にやってみればよいことに過ぎません。何もしないことで気持ちが楽になるならば、それも立派なグリーフワークです。

お坊さんらしいことを書きますと、葬送やそれにまつわる行事も大事なグリーフワークです。仏教だと、枕経に始まり、通夜に葬儀、還骨、そして7日毎の中陰参り、法事や毎月の月命日のお参りなど。簡略化されることも多いですが、残された者にとって、語り合い、亡き人と出会い直していける大切な場です。

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Profile

秋山 智

1984年生まれ、新十津川町光台寺(真宗大谷派)住職。葬儀などを通して、死別を繰り返すことで、グリーフについて関心を持つ。2016年にリヴオンが主催する「僧侶のためのグリーフケア連続講座」を受講。現在は僧侶の仲間と共に隔月で、地域緩和ケアセンターruyka(札幌市)にて「お別れを経験した、私たちのつどい」を開催し、喪失体験を語り合える場をつくっている。

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