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〈第6回〉グリーフを抱えた人と接する

〈第6回〉グリーフを抱えた人と接する

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グリーフとは、喪失によって心身に起こる様々な反応のことを言いますが、喪失を体験して、辛い思いを抱えている人に私たちは何ができるのでしょうか。

家族と死別した友人と接する場合を例に考えてみましょう。まず、その人のことを気にかけていることを伝えること。なんて声をかけたら良いかわからなかったり、そもそも声をかけて良いのか悩むことはないでしょうか。もし、あなたにとってその友人のことが気がかりならば、気にかけていることを伝えてみるのは良いことだと思います。心配してくれる人がいることは心強いですし、もし友人にとって必要であれば、その後に相談しやすくなるかもしれません。

次に、相手のあり方や思いを尊重すること。グリーフの表れ方は人それぞれ異なります。滝のように思いを語る人もいれば、あまり口に出さない人もいます。普段の様子と大きく違って驚くこともあるかもしれません。それらを私の思いで評価や判断、助言しないで、まずは相手が話すままに聞くことを大切にしてみてください。
また、あまりかけるべきではない、場合によっては相手を傷つけてしまう言葉もあります。たとえば、元気だしてね、いつまでも泣いていたらだめだよとか、あなたの気持ちがわかるよとか。亡くなった人が安心できないとか、早く納骨しなきゃだめだとか。

これらの言葉は相手のことを気にかけたつもりでも、本質的には聞いている自分を楽にするための言葉ではないでしょうか。元気が出せる状況ならば元気を出します。今、泣きたいのに、どうして泣いてはいけないのですか。似たような気持ちは知っていても、その人の気持ちはその人にしかわからないものです。亡くなった人を都合のいいように利用しないでください。宗教や慣習にもよりますが、基本的にはいつ納骨しても良いものです。自分の思いを相手に押しつけるのではなく、相手のことを尊重する姿勢が大切だと私は思います。

グリーフについての知識を伝えたり、必要であれば適切な支援につなぐことも大事なことです。知ることで楽になったり、本人だけでは解決できない困り事も、支援につながることで助かることもあります。

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Profile

秋山 智

1984年生まれ、新十津川町光台寺(真宗大谷派)住職。葬儀などを通して、死別を繰り返すことで、グリーフについて関心を持つ。2016年にリヴオンが主催する「僧侶のためのグリーフケア連続講座」を受講。現在は僧侶の仲間と共に隔月で、地域緩和ケアセンターruyka(札幌市)にて「お別れを経験した、私たちのつどい」を開催し、喪失体験を語り合える場をつくっている。

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