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グリーフとは、大切な人やものなどを喪失することから生まれる、その人なりの自然な反応や状態、プロセスをさす言葉です。
このコラムでは、グリーフについて知ることで、グリーフと付き合いやすくすることを目的として、共に学んでいきたいと思います。

第19回|亡き人への手紙

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第19回|亡き人への手紙

 大事な人やもの、環境などを喪失した時に起きる様々な反応をグリーフといいます。このコラムではグリーフについて知ることで、グリーフを付き合いやすくなることを目的として書いています。

 グリーフは時間の経過と共に軽くなるように考えられがちですが、必ずしもそうとは限りません。たとえば、喪失から時間を経て、少し気持ちが軽くなったように見えていても、ふとしたきっかけで、しんどいな、辛いなと思うこともあります。死別であれば、亡くなった日や、喪失した存在と思い入れのある日、たとえば誕生日や結婚記念日などにグリーフが重くなることがあると言われています。これを記念日反応といいます。また、先日、お連れ合いを亡くしてシングルファザーとなり、子どもを育てている人のお話を聞く機会があったのですが、その人は子どもの入学式や運動会などで、周りの家族を見ると悲しい気持ちが増したと話しておられました。

 そういった時に自分の中のグリーフと付き合っていく方法の一つに「亡くなった人や存在に手紙を書く」というものがあります。今の自分の気持ちや思っていること、また亡くなった人、かわいがったペット、大切な存在に伝えたいこと、聞いてほしいことを、そのまま文字に書いて言葉にしてください。手紙として整った文章でもよいですし、思いつくままに箇条書きにしても良いと思います。文字にすることが難しければ絵や他の表現方法を使っても良いでしょう。大切なことは自分の中にある思いを、外に向かって出してみることです。心の中にもやもやしていたものを、言葉や絵などにすることで、見えてくるものもあるでしょう。

 書いた手紙をどうするか。地域によっては「漂流ポスト」や「緑のポスト」といって亡き人への手紙を受け入れる場所もありますが、残念ながら空知では聞きません。最近では葬儀屋さんが類似のポストを設置している例もあります。インターネットでは、そらノート(https://soranote.jp)といったサービスも無償公開されています。うちのお寺でも来年あたり、お盆にあわせて8月中は手紙を受け付けるようなポストを設置してもよいなと、この原稿を書きながら考えています。


そらノート|https://soranote.jp

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Profile

秋山 智

1984年生まれ、新十津川町光台寺(真宗大谷派)住職。葬儀などを通して、死別を繰り返すことで、グリーフについて関心を持つ。2016年にリヴオンが主催する「僧侶のためのグリーフケア連続講座」を受講。現在は僧侶の仲間と共に隔月で、地域緩和ケアセンターruyka(札幌市)にて「お別れを経験した、私たちのつどい」を開催し、喪失体験を語り合える場をつくっている。

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