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グリーフとは、大切な人やものなどを喪失することから生まれる、その人なりの自然な反応や状態、プロセスをさす言葉です。
このコラムでは、グリーフについて知ることで、グリーフと付き合いやすくすることを目的として、共に学んでいきたいと思います。

第22回|言葉のヒント

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第22回|言葉のヒント

大切な人を亡くしたり、大きな喪失を経験した人が身近にいる時、私たちはなんとか力になれないか、早く元気になって欲しいと願います。けれども良かれと思ってかけた言葉が、かえって相手を深く傷つけたり、孤立させてしまうことがあります。

「いつまでも泣いていたら亡くなった人が悲しむよ」とは、悲しんでいるその人のあり様を否定します。

「時間が解決してくれるよ」。先のことではなく、今の悲しみや辛さを聞いて欲しいのです。

「私にも似たような経験があるからわかるよ」。同じような経験があってもグリーフは一人ひとり異なります。似ていても同じとは限りません。

「また新しい出会いがあるさ」は、 亡くなった人との関係性を無視し、その人の存在や記憶を軽んじることにつながりかねません。

これらの言葉は励ましのつもりでも、相手にとっては自分の悲しみは理解されていないと孤独感を深めてしまう原因になるのです。

では、グリーフを抱える人にどのように向き合えばよいのでしょうか。求められていないならば、アドバイスをせずにグリーフを抱える人の声に耳を傾けることが大切です。自分の意見を披露するのではなく、話し手が話すままに聞くことです。言葉をさえぎったり、否定せずに、相槌を打ちながら、相手の言葉に耳を傾けましょう。聞く方法にリフレクションと呼ばれる技法があります。たとえば、相手が話していることを、オウム返しのように返すこと。「全然、疲れが取れないんだ」と言われたら、「全然、疲れが取れないんですね」とそのままに返す。話し手の声の大きさや、スピード、話の調子に合わせて聞き手も同じように反応を返すやり方もあります。話し手が安心して話せる場を作るためにこういった技法も効果があります。

話を聞いて何も言えなくなる時もあります。その時は、なんと言ったらいいかわからないけれど、心配していることを伝えるのも良いでしょう。言葉が見つからなくても支えにはなれます。言葉に詰まっても、無理に何かを言おうとする必要はありません。そばにいて、頷き、静かに相手の話に耳を傾ける。それこそが、グリーフを抱える人にとって大切な支援となります。

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Profile

秋山 智

1984年生まれ、新十津川町光台寺(真宗大谷派)住職。葬儀などを通して、死別を繰り返すことで、グリーフについて関心を持つ。2016年にリヴオンが主催する「僧侶のためのグリーフケア連続講座」を受講。現在は僧侶の仲間と共に隔月で、地域緩和ケアセンターruyka(札幌市)にて「お別れを経験した、私たちのつどい」を開催し、喪失体験を語り合える場をつくっている。

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