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グリーフとは、大切な人やものなどを喪失することから生まれる、その人なりの自然な反応や状態、プロセスをさす言葉です。
このコラムでは、グリーフについて知ることで、グリーフと付き合いやすくすることを目的として、共に学んでいきたいと思います。

〈第13回〉改めてグリーフとは

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〈第13回〉改めてグリーフとは

グリーフとはその人にとって大切な人やもの、環境などを喪失したことで起こるさまざまな感情や反応、状態などを指す言葉です。日本語では悲嘆と訳されることが多い言葉ではありますが、悲しみだけに限ったものではありません。大切な人を亡くして悲しいことがあります。けれども一方で、もう苦しむことはないと思うとほっとしたという人もいます。グリーフが喜びや安堵としてあらわれることもあるでしょう。

また、このグリーフにまつわる喪失体験は死別について語られることが多いですが、死別のみに限った話でもありません。災害で家や故郷を失ったり、病気で健康を失うこともあるでしょう。そのような時にも私たちの心身には様々な感情や反応があらわれてくると思います。

これらの感情や反応は誰にでもあらわれうる自然なものです。グリーフは病気ではありません。ただ、グリーフを抱える人の中には、例えば死別から1年以上経っても日常生活が成り立たないほど苦しみが大きいような場合、遷延性悲嘆症といって医療的なケアが必要になる場合があります。

早く悲しみから立ち直らなければいけないと言われることがあります。立ち直ろうと努力することを否定する必要はないですし、その人を励まそうと善意で声をかけることもあるでしょう。けれども、悲しみから無理に立ち直ろうとしたり、グリーフは越えていかなければいけないものではないと私は思います。泣いてはいけない、なんてことは言うべき言葉ではないでしょう。

また同じような喪失体験であっても、グリーフは人それぞれ異なります。グリーフはまるで指紋のように違うと言われることもあります。私の時はこうだったのに、あの人はどうしてああなのか、などとつい比べてしまいたくなりますが、起こってくることは人それぞれ異なるものなのです。

このコラムの目的は、グリーフについて知ることで、自分自身のグリーフと付き合いやすくすることです。また、自分自身のグリーフを大切にすることは、他者のグリーフを大切にできることに繋がっていくでしょう。自分や他者のグリーフを大切に扱えることがグリーフケアの第一歩となるのではないでしょうか。

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Profile

秋山 智

1984年生まれ、新十津川町光台寺(真宗大谷派)住職。葬儀などを通して、死別を繰り返すことで、グリーフについて関心を持つ。2016年にリヴオンが主催する「僧侶のためのグリーフケア連続講座」を受講。現在は僧侶の仲間と共に隔月で、地域緩和ケアセンターruyka(札幌市)にて「お別れを経験した、私たちのつどい」を開催し、喪失体験を語り合える場をつくっている。

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