〈第2回〉喪失体験で起こる反応
グリーフとは、私たちが大切にしているもの、人、環境などを喪失した時に、私たちの心身に様々な反応が起こり、普段とは違った状態になること、と前回お話いたしました。
今回は、喪失を体験した時に、私たちの心身にはどういった反応があるのか、大まかに4つに分類して考えてみたいと思います。
感情的反応―悲しみ、不安、怒り、無感覚
認知的反応―故人の現在感、否認
行動的反応―疲労、過活動、泣く、社会的ひきこもり
身体的反応―食欲不振、睡眠障害
感情的反応は皆さんも何となく想像できるのではないでしょうか。大切な人を失った時に悲しくなったり、逆に何も感じられなくなったり。または例えば、財布を落として、自分や周囲に腹を立てたとか、そういった経験はありませんか。
認知的反応の故人の現在感とは、亡くなっているが今でもいるような気がする。ドアを開けて顔を出しそうな気がする。私自身、僧侶として死別を経験した人と関わる中で、そういった話をよく耳にします。否認とは、亡くなったことを認められない、認めたくないことです。亡くなっているが、自分の中では、亡くなったことを何となく認めたくないということはありませんか。事故や災害などの急なお別れで、特に起こりやすいかもしれません。
行動的反応とは、普段よりも疲れやすい、じっとしていても涙が出る、人に会いたくないなどの反応です。過活動は、喪失体験をきっかけに、普段より活動量が急激に増えることです。悲しみを紛らわすために仕事に精を出したという方もいるのではないでしょうか。
身体的反応とは、ご飯が食べられなくなったり、夜眠れなくなったり、体に影響が出るような反応をいいます。
これらは、あくまでもひとつの例に過ぎず、ここに示していないグリーフもあります。大切なのは、グリーフは人それぞれに千差万別で、どういった反応や状態でも起こり得るということです。こういった反応は、誰にでも起こる可能性がある、極めて自然なことです。グリーフそのものは病気ではありません。起こってくるものを否定したり、自分を責める必要は無いのです。