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〈第9回〉子どもにとってのグリーフ

〈第9回〉子どもにとってのグリーフ

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喪失を体験するのは大人だけではありません。今回は小さな子どもが喪失を体験した時のグリーフについて一緒に考えてみましょう。

たとえば小さな子どもが祖父母や親との死別を経験した時に、どういった言葉をかけますか。まだ小さくて死を理解していないだろうから、特別な対応は必要無いでしょうか。別れが近くなっても、子どもに知らせるのはかわいそうだから、あえて伝えないこともあるかもしれません。

小さな子どもにとって、死について、二度と会えないことや、もう話したり遊んだりできないことを、理解するのは難しいことかもしれません。そのような理解ができるのは小学生になる頃からとも言われています。しかし、それでは小さな子どもは死について何も感じていないのでしょうか。

我が家では飼っていた柴犬が、つい数ヶ月前に急に亡くなりました。その時の3歳の娘の反応を書きます。犬は「ちゃあ」という名前でした。ちゃあが、寝そべって動かない様子を娘は不思議そうに見ています。私の母が娘に「ちゃあ、いなくなっちゃったの」と教えると、娘は戸惑った様子で「ちゃあ、いなくなっちゃったの」とオウム返しのように繰り返していました。また亡くなってからしばらくの間は、犬がいたスペースを何度も見に行きました。家族の様子がいつもと違う。いつもいた犬が何故かいない。娘なりに変化を感じていたようです。小さな子どもにとってもグリーフが無いわけではありません。

子どものグリーフは大人と同じようなものもあれば違うものもあります。たとえばトイレに行けなくなる、親から離れられなくなる、亡くなったのは自分のせいだと思いこんでしまう。自分の気持ちを言葉で表現することが難しい子どもだと、行動を通してグリーフを表現することも多くなります。勉強に集中できなかったり、怒りっぽく暴れたり、おとなしく静かになる子もいます。子どものグリーフも千差万別です。

子どもだからと軽んじたり、ごまかさずに、子どもの言葉に耳を傾け、喪失のことをできる範囲で子どもに伝えることも大切なことです。どうかグリーフを抱える1人の人間として尊重してください。

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Profile

秋山 智

1984年生まれ、新十津川町光台寺(真宗大谷派)住職。葬儀などを通して、死別を繰り返すことで、グリーフについて関心を持つ。2016年にリヴオンが主催する「僧侶のためのグリーフケア連続講座」を受講。現在は僧侶の仲間と共に隔月で、地域緩和ケアセンターruyka(札幌市)にて「お別れを経験した、私たちのつどい」を開催し、喪失体験を語り合える場をつくっている。

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